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【無人島105日目】Peter Fessler "Here’s That Rainy Day" [CD]

Here’s That Rainy Day

Here’s That Rainy Day

  • アーティスト: ピーター・フェスラー
  • 出版社/メーカー: インディペンデントレーベル
  • 発売日: 2003/09/03
  • メディア: CD


105日目。東京は梅雨真っ盛り。雨自体は別に嫌いじゃないんすけど、こんだけ降り続くとさすがにうんざり。部屋干しの洗濯物から変な臭いがする! 冷蔵庫に入れてても生モノが傷みやすい! 掃除したばっかなのに浴槽にカビが生えてる!などなど、「イヤな季節よねー」なんて近所の奥さんと立ち話で愚痴りたくなるくらい、チョンガーにはなかなかどうして、やっかいな季節でございます。もうこんな時は、開き直って雨を楽しむくらいの心意気で生活しないといけませんな。よし! まずは音楽から! 雨音をメトロノームに、ご機嫌なスウィングをかますこの人のアルバムを。ちょっとキモイけど。

ドイツ人のジャズ・ボーカリスト、ピーター・フェスラー。20歳から本格的にジャズ・ボーカルを学び、アル・ジャロウに影響を受けたという彼の歌声は、ビロードのように滑らかで、羽毛のように軽やかです。その超越ぶりは異様なほどで、正直言ってちょっとキモイ。あ、言っちゃった。ワハハ。

4オクターブの音域を自由に行き来できる美声。超音速なスピードでかましてくる、でも決して噛まないスキャット。そして何よりも、そんなスゴイことをしているように思わせない、余裕綽々なまでの落ち着いたボーカリング。どれもこれもが、どんだけー!な感じの人間離れしたキモさです。例えばボビー・マクファーリンなんかも同じキモさがありますが、彼の場合はそれを売りにしているから、聴く方もそのつもりになれるのですが、ピーター・フェスラーの場合、「なんか普通に聴いてたけど、よくよく聴いてみるとこの人ちょっとキモくね?」っていう、上質なホラー映画的なキモさがあります。ここまで「キモイ」って連呼しといてなんなんですが、褒めてます。かなり褒めてます。

91年にソロデビューし、アル・ジャロウ、ランディ・クロウフォード、ボビー・マクファーリン(やっぱり)などとも共演を果たし、すでに本国では10枚のアルバムをリリースしています。日本では03年にこの日本限定盤のベスト「Here's That Rainy Day」で初めて紹介されました。「Tenderly」やシナトラのカバーである表題曲「Here’s That Rainy Day」など、オーソドックスなジャズのスタンダードから、アントニオ・カルロス・ジョビニの「Wave」や「One Note Samba」などといったボサノバのカバーなどが17曲も入ったオトク盤。特にボクのオススメは1曲目の「Your Eyes」と13曲目「Somewhere Over The Rainbow」。特に後者は、いろんな人が歌っている名曲ですが、アコギ1本のみというシンプルなアレンジで、ここまで本当に「虹」のイメージを喚起させてくれるっていうのは、マジ超キモイです。褒めてる。かなり褒めてる。

キモイキモイ、たくさん書きましたが、ピーターさんのテクが人間離れしてるって話で、アルバム自体はとても落ち着いた聴きやすい小品です。64日目に紹介した ティル・ブレナーにも似て、雨の午後や、なにも予定のない静かな夜なんかに聴くと、バッチはまるアルバムだと思います。ちょっとキモイけど。


タグ:2007年
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