SSブログ

【無人島159日目】eastern youth "地球の裏から風が吹く" [CD]

地球の裏から風が吹く

地球の裏から風が吹く

  • アーティスト: eastern youth,吉野寿
  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(M)
  • 発売日: 2007/11/21
  • メディア: CD


159日目。昨夜は恵比寿まで「eastern youth」のライブ『極東最前線』を観に行ってきました。94年から続けられている企画ライブで、今回の対バン相手は「キセル」。2組ともボクの大好きなバンドです。キセルのライブはもう何度も見ているのですが、イースタンは2度目。しかもイースタンがメインのライブは今回が初めて。早々に会社を脱出し、会場では前から3列目くらいの場所を確保して、万全スタンバイ。先攻のキセルのライブがつつがなく終わり、いよいよイースタンの出番となり、周りを見回すと、まだ10代とおぼしき血の気の多そうな少年らで超満員。なんとなく嫌な予感がしたのですが、せっかく好位置を確保したのに動くのももったいねえよな、などと貧乏心を出したのが間違いでした。

ステージが暗転し、メンバーがステージに現れた途端、「うぉおおおお!」という雄叫びとともに少年らが雪崩のように前方に詰め寄り、1曲目のイントロとともに全員がフィスト・バンギング。チンクリな39歳はあっという間にペチャンコにされ、ベソかきながら早々に後方に撤退しました。うぐっ、うぐっ。怖かったでちゅ〜(←恐怖で先祖帰り)

その、メタルライブと見紛うばかりの盛り上がりっぷりも驚きましたが、あんな若い人たちがイースタンの音楽に熱狂していること自体、認識不足のボクには驚きでした。ボクの勝手な想像では、ライブ会場には40代くらいのおっさん達が集い、ボーカル・吉野寿氏の歌と姿に自己投影しながら「わかる、わかるなあ」なんて頷いて聴いてるライブなのかと思っていたのでした。昨夜のライブには、もちろんそういう感じのお客さん(←ワシ)もいたのですが、メインフロアを占めているのは、大学生くらいの男の子がほとんで、しかも結構オシャレ系ボーイズが多く、ちょっと意外だったのです。

一体イースタンの歌の何が、10代の彼らを熱狂させるのでしょう? 早速今日は、昨年11月にドロップされたアルバム「地球の裏から風が吹く」をリピート再生しながら、検証を進めてみました。仕事は? ねえ、仕事は?





生まれたくて生まれたんじゃないと
拗ねて世界に唾を吐いて
楽になったか?
『沸点36℃』

打ち据えられては、ばかやろう
引き倒されても、ばかやろう
孤立無援で、ばかやろう
満身創痍で、ばかやろう
『ばかやろう節』

湧き上がる悲しみを
恥じて殺さないでくれ
耐え切れない涙を
笑う奴等に負けないでくれ
『サンセットマン』

正直に生きれば生きる程
向かい風ばかりが強くなる
「踏み越えて楽になれ」と
オーロラビジョンが喚き散らしている
『白昼の行方不明者』

雨が降ったら
野良犬、濡れて走る
言葉など持たないが
悲しみなら溢れる程ある
『野良犬、走る』



全作詞担当は吉野氏。どれもこれも、直面している現実を軽くかわすことができず、無様に全身で受け止めてしまい、ゴキブリみたいにひっくりかえって仰向けに倒れ込んだたまま、涙目で青空を見上げているような歌です。きっとそばにいても「がんばって」なんて言葉はとてもかけられない、燃えるような憤りと孤立と焦燥感に満ちています。ボーカルではなく「ボイス」とクレジットされる吉野氏の歌声は、そんなに傷つきながらもなお人生を謳歌しようともがく男の叫びとして、ガツンガツンに胸を打ってきます。

「自分の核たるものを凝縮して、それを如何に磨き出していくか。それに全部を懸けてるわけですよ。それが凄くつまらない、ちっぽけなものだとしたら、そこまでの自分がつまらん生き方をしていた結果なんだと思う。でも、つまらん生き方をしてきた結果としてのちっぽけな歌だとしたら、つまらんちっぽけな価値があるし、それだけの輝きもある」とは、自身の作詞に関する吉野氏のコメント。つまらんちっぽけなモノが持つ、価値のある輝き。うん。確かにその輝きは彼らの音楽の通底音としてあるし、社会的にも精神的にも中途半端で、自我を必死で探している10代の若者たちが、彼らの音に反応してしまうのは、当然のことなのかも知れません。

今年結成20年を迎え、今月末には2枚のベスト盤と、今回のライブ『極東最前線』の企画盤の3枚を同時リリース、9月からはツアーもスタートと精力的な活動を続けるイースタン。またライブに行って、次回は若者たちとフィスト・バンギングに挑戦してみたいと思います。ところで、イースタンのことを調べながらこのレビューを書いている間に、吉野氏とボクが同い年だということが判明し、かなり動揺してしまい、途中から文章がそぞろになってしまいました。同い年って。ビックリしたでちゅ〜。


タグ:2008年
nice!(1)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 2

かものはし

キセルとeastern!!!なんてnice!な組み合わせ。
しかも、10代に人気???確かに・・・。
それにしても、ジャケットに石田徹也を選ぶとは・・・。
さすが、やりますね。。
by かものはし (2008-07-10 12:16) 

ハチ

>かものはしさん

お返事遅くなってすみません。
石田徹也に反応するとは、さすがかものはしさん。
ボクもこの人の絵が大好きで、画集も持ってます。
「孤独」や「抑圧」をテーマにしているという点で、
確かにeasternとは通じるものがあるかも知れんですな。
by ハチ (2008-08-06 14:49) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。