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【無人島163日目】サザンオールスターズ "I AM YOUR SINGER" [CD]

I AM YOUR SINGER

I AM YOUR SINGER

  • アーティスト: サザンオールスターズ,桑田佳祐,原由子,斎藤誠,山本拓夫
  • 出版社/メーカー: Vicctor Entertainment =music=
  • 発売日: 2008/08/06
  • メディア: CD

163日目。この夏の話題作『崖の上のポニョ』と『ダークナイト』を続けざまに観てきました。両方ともおもろかった。テーマやターゲットはまったく違いますが、この2つの映画の共通点は、公開前から「超娯楽大作」として注目されていたことと、にもかかわらず蓋を開けると、かなりインディーズっぽい仕上がりになっているところでしょうか。『ポニョ』は完全に宮崎駿氏の脳内バーチャル映像だったし、『ダークナイト』は「お前だって悪いことしたいだろ?」という、人の気持ちを逆撫でする挑発を、ギリギリのところでエンタテインメントに落とし込んでいる傑作でした。人を楽しませる前に、まず自分が楽しむこと。そのモノ作りの基本をしっかり踏まえた上で、ちゃんとエンタテインメントにしているところが、この2作品のコモンセンスでしょうな。素晴らしかったです。

注目されればされるほど、周りの目や意見が気になるし、かといって人の言葉をガン無視して、好き勝手に作っても、ひとりよがりなものしか出てこない。ちゃんと自分の立ち位置と求められているものを見極め、なおかつ自分らしくあること。口にするのは簡単だけど、実際にやるとなると綱渡り的に難しい業を見事にクリアしたのが、クリストファー・ノーラン氏であり、宮崎駿氏なワケです。そしてボク的にはサザンの新曲もそうだなぁと思っとります。

結成30周年という節目を迎え、無期限活動休止を宣言したサザンオールスターズ。いずれまた復帰することを明言しておりますが、年齢的にこのまま終わってしまってもおかしくない気もするし、戻ってきたとしても今とは異なったスタイルになっていることでしょう。そう考えると、今月リリースされる53枚目のシングルが、実質上のラスト・ソング。最後はどうくるのか? 『いとしのエリー』ばりのバラードか、『勝手にシンドバッド』みたいなノリノリ・チューンか、『エロティカ・セブン』的なキワキワ路線か、『TSUNAMI』のような涙系スローバラードか。ファンのみならず、世間の耳目を集める中、ドロップされたのが『I AM YOUR SINGER』。


歌は熱い叫びか?
甘い囁きなのか?
この胸に響くはメロディ
それは八月末の
空の花火みたいに
咲きながら散りながら
今夜こそ決めて


「八月末の」とある通り、この曲は先日行われた日産スタジアムでの4日間ライブに向けて制作された曲で、桑田佳祐氏曰く「当日のライヴを夢想しながら作った」とのこと。ボーカルにエフェクトを掛け、打ち込みドラムを多用した、80'sを感じさせるニューウェーブなアレンジ。サビは覚えやすいメロディに、ちょっとセンチな歌詞を乗せて、原坊のまろやかなバッキングボーカルを重ねるという、サザンの王道スタイル。必要以上に湿っぽくならず、でもお別れ感もあり、しかもサザンらしいサウンド。世間から求められるタスクを見事オールクリアしつつ、でもどこかで「え?これで終わりなの?」と思わせる、余力の残し方とサバサバ感があります。そこがいい。

『ポニョ』にしろ『ダークナイト』にしろ『I AM YOUR SINGER』にしろ、周りから求められているリクエストを100%把握した上で、半分はその期待に応えながらも、残り半分はどこかでそれを裏切る意地悪さがある。それが「職人」と「芸術家」のモノ作りの違いであり、魅力なのかも知れません。


タグ:2008年
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