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【無人島197日目】Bon Iver "Woods" [CD]

Blood Bank

Blood Bank

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Jagjaguwar
  • 発売日: 2011/02/15
  • メディア: CD

197日目。東京は冬と秋がかわりばんこにやってきて、ポカポカだったりピューピューだったり日替わりでお天気が変わるので、なんとも落ち着かない感じでございます。皆さんの街ではいかがでしょう? ボクは極端なさむがりなので、冬はちょっぴり苦手なのですが、それでもあの独特のピンと張りつめた空気の匂いや、硬質な宝石を思わせる空の色や、身を潜めてなにかをじっと待っているような雪の夜の静けさなんかは、とても好きなのでございます。本日はそんな夜にピッタリな、この人のアルバムをご紹介しましょう。

Bon Iver。ネットで探すと「ボン・イヴェール」とか「ボン・アイヴァー」とか発音表記がバラバラなのですが、調べたところ「ボン・イヴァー」が最も発音に近いようで、因みにフランス語の“bon hiver(素敵な冬)”を文字った名前だとか。もともとアメリカ人のJustin Vernon氏のひとりユニットとしてスタート。08年にリリースしたファースト・アルバム“For Emma, Forever Ago”が、イギリスの著名インディーズ・レコード・レーベル「Rough Trade Records」の09年ベストアルバムに選出されたのをきっかけにじわじわと人気を集め、その後3人のメンバーを加え現在4人編成のバンドとして活動中です。

ボクがこのバンドを知ったのは偶然で、“The Cinematic Orchestra”というバンドの“To Build a Home”という名曲を歌っているボーカリスト“Patrick Watson”というSSWのことを調べている時に、「他のリスナーはこんな商品も購入してます!」みたいなバイラルマーケティングにまんまとひっかかり、ちらりと試聴してしまったのがきっかけです。聴いてしまったのは、こんな曲。ファンの方が個人で作ったらしいPVがあったのでつけておきましょう。






I'm up in the woods
森の中に入り

I'm down on my mind
深く瞑想する

I'm building a still
静寂を構築するんだ

to slow down the time
時の流れを遅らせるために


たった4行のフレーズを繰り返しながら、Justin君の声のみで、エフェクトをかけながら少しずつ重ねていくことで作ったと思われる録音。いわばアカペラで、讃美歌のようなシンプルな歌ではありますが、前半の聴き手の耳をくすぐるような静けさと、後半に向かって光が射すように盛り上がっていく構成は実に巧みで美しいです。

この曲は前述のアルバム“For Emma, Forever Ago”のあとにリリースされたミニアルバム“Blood Bank”に収録されたもので、ちなみにiTunesのアルバムレビューにはこの楽曲にして「ヘッドフォンを通して聴いていると、完全にその声の世界に密封されるかのよう」とベタ褒めの評価を受けています。

アルバムのジャケットが雪景色なのもありますが、この曲を聴いているとボクは、冬の夜空に浮かぶ満天の星々を思い浮かべます。その静謐さと奥行きの深さ。自分はちっぽけで自然は大きくて、でも実は自分も自然の一部だという事実。ヘンリー・D・ソロー著の『森の生活』や映画『イントゥ・ザ・ワイルド』に通じる、孤独という名の豊かさが、この歌には詰まっている気がするのです。1人で過ごす雪の夜に、ヘッドフォンでこの曲を聴いたら、ずっと遠いところまで行ける気がします。ちょっと危ない。そこが好き。


タグ:2009年
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