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【無人島198日目】フラッシュバックあの人 "摩天楼と、蜃気楼" [CD]

摩天楼と、蜃気楼

摩天楼と、蜃気楼

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Coa Records
  • 発売日: 2009/11/11
  • メディア: CD

198日目。ボクはCDを買うとき、よく中身の音楽を聴きもせず買ってしまう悪いクセがございます。一例をあげるならば「ジェケ買い」。ジャケットがボクの好みであれば、中身の音楽もそれほどハズレがないと、なんとなく信じきっとる節があるのです。実際には聴いてみてひっくり返った経験は一度や二度ではないのですが、それでも自分のカンとセンスだけを信じて、賭けをするようなあの衝動は、デフォルトではギャンブルのできないチンクリなボクの生活の中で、唯一のギャンブル的な要素かもしれません。

「ジャケ買い」に似たような衝動買いとして「タイトル買い」もしくは「アーティスト名買い」というのもあります。例えば、“ノラオンナ”というアーティストのアルバム『少し大人になりなさい』。“ノラオンナ”ってアーティスト名もスゲーし、『少し大人になりなさい』っていう、なんだか耳が痛いようなくすぐったいようなタイトルも好き。見つけた時は小躍りでレジまで持っていきました。(実際このアルバムは中身も素晴らしいアルバムでした)。同じ路線で、最近だと“間々田優”の『あたしを誰だと思ってるの』も、デビューアルバムにそのタイトルをつけるセンスが好きで購入。「アーティスト名買い」だと、“neco眠る”。意味不明だけどなんかかわいらしいし、実際に聴いてみると、なるほどーと思わせる雰囲気のある作品なのでした。

そして、このCDもそう。“フラッシュバックあの人”。「フラッシュバック」という英語に、日本語を繋げてしまう無頼っぷりもスゴいですが「あの人」ってどの人よ!?っつう、完全にリスナー置いてきぼりな感じもいい。しかも曲名ならともかく、これがバンド名って。いい意味でやりすぎ。好きです。

今年インディーズで話題になった「フレネシ」という女性シンガーのアルバムのプロデューサーを務めた山口洋輔氏と、“Terry&Francisco”の名前で活躍する男性デュオのテリー福山こと福山輝彦氏のふたりユニット。今年の11月にアルバム『摩天楼と、蜃気楼』でデビューしました。主に山口氏が演奏とプログラミング、福山氏が歌を担当し、曲作りは一緒にやっているようです。

全10曲入りなのですが、曲のタイトルもこれまた秀逸で、「さざ波と影」「ただの女、きみを愛した」「たまには、帰っておいでよ」などなど、一体どんな歌!?とワクワクするような題名が並んでおります。そして実際に音源も素晴らしく、山口氏の計算されつくしたアレンジと、福山氏のクセはあるけど嫌味のないボーカルが上手くマッチされて、とても二人きりで作ったとは思えないラグジュアリーなサウンドに仕上がっています。延々と車窓から雨の東京を撮り続けたこのPVもステキです。





シュガーベイブの「DOWN TOWN」と、小沢健二の「さよならなんて云えないよ」のカバーも収録。70年代と90年代のエポックメイキングなこの2曲をカバーすることで、自分たちの演っている音楽の系譜を示しているところも、なんとなく好感が持てます。シティ・ポップスなどという意味不明なジャンル分けよりも、達郎やオザケンが好きでミュージシャンになりました!と言われたほうが、シックリくる感じの音楽なのです。

そして確かにどこかノスタルジックな印象がこのアルバムにはあり、全曲を通じて「あの人」がまぶたの裏側のほうで、切れかけたフィラメントのように「フラッシュバック」するのが見えた時のような、チクリとした寂しさを孕んでおるのです。


タグ:2009年
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