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【無人島208日目】星野源 "ばかのうた" [CD]

ばかのうた

ばかのうた

  • アーティスト: 星野源
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2010/06/23
  • メディア: CD

208日目。暑いです。東京はまるで温度調節のつまみが壊れちゃった感じの猛暑です。気温が振り切ると、見慣れた風景もいつもと違うように映るのか、ここ数日は街を歩くだけで、まるで南国を旅しているかのようなイリュージョン。もうもうと立ち上るミラージュの向こう、ホラ、死んだおばあちゃんがフラダンスを踊っているよ……って、ヤバい! 熱中症! こんな日はクーラーをガンガンにかけたエコフリーな部屋で、夏っぽいけどどこか涼し気な、こんなCDでも聴いてみましょう。


閑話休題。先週末、北海道・石狩まで「エゾロック」こと『Rising Sun Rock Festival』に行ってきました。前日まで降り続いた大雨のおかげで、会場である野外スペースは、まるで田んぼのごとき泥んこ天国。土に肥料が混ざっているのか、いい具合にすえた香りがして、アグリカルチャー気分の夏フェスでした。参加されたみなさん、お疲れさまでした。秋には美味しいお米がとれることでしょう。

今年の目玉は、矢沢永吉、山下達郎、聖飢魔Ⅱなど、ボクらの年代(四十路)にはジャストミートのラインナップだったのですが、個人的なお目当てとしては、124日目に紹介した英祐一率いる「THE武田組」、180日目に紹介した「相対性理論」、「栗コーダーカルテット」「グループ魂」あたり。そして116日目に紹介した「SAKEROCK」のリーダーであり、6月に初のソロアルバム『ばかのうた』をリリースしたばかりのこの人、「星野源」。

「SAKEROCK」のライブは昨年のエゾロックで拝見していて、あまりのおふざけぶりに腹が痛くなるほど笑ったのですが、今年はリーダーのソロということで、どんなことになっているのか楽しみにしておったのです。ところが、開演前からステージ前で待機していると、周囲は若い女の子だらけ。星野源が登場すると「かわい〜!」の歓声。おいおい、えらいイメチェンじゃねえか、この野郎、ざけんなよ! などと、クダを巻きつつ見ておったのですが、曲を聴くにつれ納得。あのおちゃらけインストバンド「SAKEROCK」のリーダーが、こんな繊細で優しいリリックが紡げると知ったら、女の子はほっとけないでしょう。







君の癖を知りたいが
ひかれそうで悩むのだ
昨日苛立ち汗かいた
その話を聞きたいな

同じような顔をしてる
同じような背や声がある
知りたいと思うには
全部違うと知ることだ

暗い話を聞きたいが
笑って聞いていいのかな
思いだして眠れずに
夜を明かした日のことも

同じような記憶がある
同じような日々を生きている
寂しいと叫ぶには
僕はあまりにくだらない

悪いことは重なるなあ
苦しい日々は続くのだ
赤い夕日が照らすのは
ビルと日々の陰だけさ

覚えきれぬ言葉より
抱えきれぬ教科書より
知りたいと思うこと
謎を解くのだ夜明けまで

君の癖はなんですか?




誰かに「寂しい」と告げたい。でもその寂しさをぶつけられた相手はどうすればいいのか。そもそも自分にそんな権利はあるのか。寂しいと叫ぶには、君の癖を尋ねるには、僕はあまりにくだらない。そんな愚にもつかないことを思い悩む、心優しき青年がこの歌の中にいます。

「ひとりぼっちの怖さみたいなことより、周りに人がいるなかでの悲しさ、普通の幸せがなくなることの恐怖っていうのが、いま自分のなかですごく気になってるんです」とは、最近のインタビューにあった本人の言葉。改めてこの人の歌を聴くと、確かにどの曲にも一貫した通低音の寂しさがありますな。

早速アルバム『ばかのうた』を聴き込んでおりますが、個人的に『老夫婦』という歌にぐっさり刺されました。星野源のフラットな歌声とマリンバの音色が、夏の空にすっと溶けて、少しだけ涼しいような気分になれるいいアルバムです。


タグ:2010年
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