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【無人島224日目】中島みゆき "肩に降る雨" [CD]

miss M

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  • アーティスト: 中島みゆき
  • 出版社/メーカー: ヤマハミュージックコミュニケーションズ
  • 発売日: 2001/04/18
  • メディア: CD

224日目。震災が起こってからしばらく、ACにジャックされていたテレビのコマーシャル枠も、先週あたりからようやく通常の企業CMが流れるようになってきました。どの企業もこの状況下で、今何をPRすべきかを短期間で打ち出し、おそるおそる(?)といった感じでCMを流しておりますが、ボク的に最も秀逸だと思ったのは、サントリーのコマーシャル。著名人に故・坂本九氏の名曲をリレーで歌わせるという構成は、シンプルながら力強いし、ビジネス文書のような四角四面のメッセージを流すよりは、はるかに企業センスの伝わるCMだと思います。


このCMで使われているのはご存知『上を向いて歩こう』と『見上げてごらん夜の星を』の2曲ですが、両方とも作詞は永六輔氏。どちらも「がんばろうよ!」「負けないで!」なんていうメッセージ・ソングではなく、「ちょっとくじけちゃったけど、空を見上げたら星がでていたよ」みたいな、社会性のないプライベートな歌です。

アメリカやヨーロッパなどでは、こういうチャリティー・ソングになると「私たちは仲間よ!チルドレンよ!」「今、立ち上がる時だ!」「手を差し伸べよう!」などという、熱くダイレクトな歌詞になりがちですが、たぶんお国柄の違いで、日本人にはもう少し内向的なアプローチのほうがしっくりくるのかもしれません。

最近のテレビや広告などでも「強い日本を取り戻す!」とか「今ひとつになる時!」といったキャッチコピーをよく目にしますが、ボク的にはちょっと強すぎて入ってこない感じがします。それよりももっと頼りなくていいから、「怖いよね」「つらいよね」「だから手をつないで行こうね」といった普通のプライベートな言葉のほうが、心に入りやすいように思えるのです。

そういう意味で、サントリーCMの選曲はとてもいいと思うし、阪神大震災の時に「ソウル・フラワー・ユニオン」と「ヒートウェイヴ」が歌った『満月の夕』も、被災地に立ちすくむ人々の言葉を紡いだような歌で、陳腐な応援歌ではなかったところがみんなの心を掴んだのでしょう。あと、もしボクがCMのプロデューサーだったら、この曲を使うかも知れません。





肩に降る雨の冷たさも気付かぬまま歩き続けてた
肩に降る雨の冷たさにまだ生きてた自分を見つけた

肩に降る雨の冷たさは生きろと叫ぶ誰かの声
肩に降る雨の冷たさは生きたいと迷う自分の声

『肩に降る雨』中島みゆき 歌詞情報 - goo 音楽


ギリギリの絶望の中で、瓦礫の隙間から見えるわずかな光。いっそ見えないほうが楽になれるはずのわずかな光を目指して、気付かないうちに歩き出している。そんな人々にあてて贈る言葉は、「がんばれ」でも「負けるな」でもなく、中島みゆき的には「生きろ」なのでしょう。生きろ。最も力強く、最もプライベートな言葉かも知れません。




タグ:2011年
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