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【無人島232日目】Anne Murray "You Needed Me" [CD]

Best So Far

Best So Far

  • アーティスト: Anne Murray
  • 出版社/メーカー: Capitol
  • 発売日: 1994/11/29
  • メディア: CD

232日目。今年は例年より訃報を多く耳にする気がします。先週は俳優の竹脇無我氏が67歳という若さでご他界されました。正統派な二枚目ながら、どこか侠骨な横顔のある俳優さんでしたな。ボクは竹脇無我というと、2本のドラマを思い出します。1本は山田太一脚本の『岸辺のアルバム』。77年のドラマですが、ボクは中学生くらいの時に再放送で観ていました。冒頭、平凡な主婦(八千草薫)を竹脇無我が電話でナンパするシーンがあるのですが、あの深いアルトボイスで「あなたを駅のホームで見かけた。綺麗だった……」などと囁く場面では、子供ながらに「奥さん!気をつけて!」などと身もだえておりました。そうです、おかしな中学生だったのです。主題歌はJanis Ianの『Will You Dance』。軽快なワルツの曲調に乗せて、洪水で家が流されるオープニングの映像は、30年経った今でも鮮烈に思い出せます。


そしてもう1本は、向田邦子脚本の『幸福』。80年のドラマでボクは小学生でしたが、これはリアルタイムで観ていたような気がします。竹脇無我演じる煮え切らないダメ男と、岸恵子と中田喜子演じる姉妹との、微妙な三角関係を描いたドラマで、向田邦子の真骨頂とも言える「人間の機微と性」をテーマにした作品でした。

ワキガを悩んでいる妹(かわいそうな中田喜子)が、姉(岸恵子)からも同じ臭いがすることに気づいた時、恋人(竹脇無我)の本心が分かってしまうという、超・向田邦子ワールドで、ドラマに熱中しながらも自分にはワキガがないか臭いを確かめながら観ておりました。そうです、おかしな小学生だったのです。

このドラマの主題歌はカナダ人シンガー、Anne Murrayの『You Needed Me(邦題『辛い別れ』)』。78年グラミー賞最優秀ポップ女性歌手賞を受賞した楽曲で、向田邦子自身がとても好きな歌だったようです。





わたしが流した涙を
あなたは拭ってくれた
わたしが困っていれば
あなたは助けてくれた
わたしが売り飛ばした心を
あなたは買い戻してくれた
わたしを励まし
大切なものを教えてくれた

なぜだろう
あなたもわたしを必要としてくれた

わたしにもう一度
ひとりで立てる力をくれた
わたしにもう一度
世界に向き合う力をくれた
わたしを高台まで抱き上げ
永遠を見せてくれた

あなたもわたしを必要としてくれた

信じられない
わたしには信じられない
わたしにはあなたが必要で
あなたもいつもそこにいてくれたのに
どこにもいかない ずっとここにいる
バカだと言われてもいい
やっと本当に大切な人を見つけたのに

わたしの手が冷たければ
あなたは握ってくれた
わたしが迷っていれば
あなたは連れて帰ってくれた
わたしがあきらめたとき
あなたは希望をくれた
わたしがついたうそを
あなたは本当にしてくれた
わたしを友達とさえ呼んでくれた

あなたはわたしを必要としてくれた
あなたはわたしを必要としてくれた



このドラマの冒頭では、毎回こんなテロップで流れていました。

『素顔の幸福はしみもあれば、涙の痕もあります。思いがけない片隅に、不幸のなかに転がっています。屑ダイヤより小さいそれに気がついて掌にすくい上げることの出来る人を、幸福というのかもしれません。』

これは引用ではなく、向田邦子自身の言葉です。当時は子供過ぎて分からなかったのですが、四十路を過ぎた今読むと、痛いほど理解できます。もしかしたら、この主題歌『You Needed Me』の歌詞も、同じことを歌っているのかも知れません。なにはともあれ、先週逝去された昭和の二枚目役者と、その翌日に30回目の命日を迎えた稀代の脚本家・向田邦子に。合掌。



タグ:2011年
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