【無人島242日目】ブレッド&バター "あの頃のまま" [CD]
- アーティスト: MANNA,岩沢幸矢,売野雅勇,岩沢二弓,スティーヴィー・ワンダー,呉田軽穂,石川あゆ子,山上路夫,David Gates,安井かずみ
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2005/04/20
- メディア: CD
242日目。先週末、中学校時代の同窓会に参加してまいりました。ボクは小中併設の学校に通っていたので、中学時代の友人はそのまま、幼少時からの竹馬の友になるワケなのですが、5〜6歳の頃から見覚えのある顔が、30年近い時を隔て、突然四十路過ぎの中年になって現れるというのは、ちょっとしたホラーですな。目の前に現れた見知らぬおっさんと、記憶の中の愛らしい面影との「神経衰弱」は、まるで恐いもの見たさのお化け屋敷のようでした(←ひどい)。そしてなにより「あんなにスマートで色白で優しそうな男の子だったのに」と、女子同級生にため息混じりに嘆かれながらも、一体全体どこがどう変わったのか、全く気付いていない自分自身がなによりもホラーなのでした。きゃー。
40を過ぎたあたりからでしょうか、同窓会に誘われたり、学生時代の友人たちと旧交を温める機会が多くなりました。社会人になって20年。人生も半ばを過ぎ、家でも会社でもなんとなく手持ち無沙汰で、「そういやアイツら今頃なにやってんだ?」と、身近な周囲が気になり出すお年頃なのかもしれません。
6時のターミナルで
振り向いたキミは
板に付いた紺色のスーツ
今でも気まぐれに
街をゆくボクは
変わらないよ
あの頃のままさ
去りゆく若い時間を
ひとり止めているようで
うらやましいやつだよと
初めて笑ってくれた
For yourself
そらさないでおくれ
その瞳を
人は自分を
生きてゆくのだから
ネクタイ少しゆるめ
寂しげなキミが
馴染みの店に
腰すえる夜は
陽焼けした両足を
投げ出してボクも
サイモン&ガーファンクル
久しぶりにに聴く
人生のひと節
まだ卒業したくないボクと
他愛ない夢なんか
とっくに切り捨てたキミ
For myself
幸せの形にこだわらずに
人は自分を
生きてゆくのだから
懐かしい旧友たちに会った帰り道、頭の中で回り始めたのは、ブレッド&バターの79年のシングル『あの頃のまま』。作詞・作曲は松任谷由実。男性兄弟デュオという提供先を意識したのか、ユーミンにしては珍しく「男の友情」をテーマにしています。
学生時代の友人とターミナル駅で偶然出くわし、そのまま飲みに行くというシチュエーション。すっかり大人になっていた友人は、昔と変わらない風貌の主人公を「うらやましい」と言いながらも、どこか上からな目線で見ているはずです。だから『人は自分を生きてゆく』というフレーズは、友人を思いやるように見せかけて、実は主人公が自分自身に向けた台詞にも聞こえるのです。稀代のソングライターの妙が光る佳曲です。
とは言え、話は元に戻りますが、最初はおっかなびっくりだった神経衰弱も、カードが出揃ってしまうと、もう子供の時の顔にしか見えず、四十過ぎてこんな子供でコイツらは大丈夫なのかと、逆に心配になりました。そして、チョンガーで一人暮らしで貯金ナシの我が身を振り返り、それこそが真のホラーだと気付くのでした。きゃー。
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