【無人島114日目】サラ・ウォーターズ "夜愁" [BOOK]
114日目。今のボクは、突然今のボクになったのではなく、過去の積み重ねによって今のボクになったのです。ってなんの話だ? 自分でもよくわからんのですが、誰かと出会う時、それはその人の一生のうちのほんの一瞬であり、そこに見えるその人は、過去の残像のようなものかもしれんのです。例えるなら、盲目の男が生まれて初めて象の体に触れた時のように、その人に関して理解したり知り得る範囲は実に少ない。過去のない人はいないし、その過去はすでに過去なのです。当たり前のことなのかもしれませんが、それは「人はいつか死ぬ」という真理にも似た、どうしようもなく残酷で、切ない事実だと思います。この本を読んで、ボクはそういうことを考えました。
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