【無人島290日目】Suchmos "MINT CONDITION" [CD]
290日目。ランチ時に外に出たら、頭上の高いところから、今年最初の蝉が鳴いておりました。日本人は蝉や鈴虫などの虫の音を、言語と同じ「左脳(言語脳)」で聞いていて、これらを「声」として認識しているのだと、ものの本で読んだことがあります。逆に西洋人は虫の声を、音楽と同じ「右脳(音楽脳)」で聞くので、ただの雑音としか捉えないのだそう。どちらが良い悪いの問題ではないのかもしれませんが、季節ごとに移ろう虫の音を、何か意味のある「言葉」として認識している日本人は、なんともロマンチックな民族だなあと思うのです。閑さや岩にしみ入る蝉の声(芭蕉)。
【無人島289日目】Anohni "Hopelessness" [CD]
289日目。先週末、お台場の「日本科学未来館」で開催されている『Björk Digital ―音楽のVR・18日間の実験』に行ってまいりました。360度カメラで撮影したビョークさんの新曲ミュージックビデオを、VR(ヴァーチャルリアリティ)のヘッドセットをつけて体感するという新感覚なイベント。観覧者は50人ずつくらい、丸椅子だけが置かれた何もない部屋に通され、ゴーグルとヘッドフォンを渡されます。簡単な操作説明のあと、各人がヘッドセットをつけて、それぞれのタイミングでビョークさんの世界に入っていくのです。「逃げ場がない」という意味では、映画よりも閉塞的で、ジェットコースター並みに暴力的な体験を、控え室みたいな殺風景な部屋で経験するというシュールリアリズム。すぐ隣にいる人と同じ映像を見ているはずなのに、まったく何も共有できないという圧倒的な孤独感。短い時間でしたが、ちょっとしたドラッグ体験にも似た非日常感がございました。VR、恐るべし。それ以上に恐るべし、ビョーク。