【無人島296日目】竹原ピストル "PEACE OUT" [CD]
296日目。四十路も後半になると、どうも手元にピンが合わなくなったり、あるはずのない場所に長い白髪を発見したり、走れば間に合う電車をすぐあきらめたりと、「俺って年食ったなぁ!」と思うことが日々多々あります。仕事帰りの電車の中、目の前のシルバーシートがぽっかり空いていたりすると、昔なら絶対座らなかったのに、吸い込まれるように腰を下ろして、ため息ひとつ。そういえば向田邦子氏のエッセイに、「あ、いま老けた」と思う瞬間がある、という一文がございました。
“一日の仕事を終えて、深夜テレビを見ている時、気がつくと、じゅうたんにペタンと坐り、背中を丸め、あごを前に出して、老婆の姿勢をしているのです。「あ、いま老けた……」と思います。”(「若々しい女について」より抜粋)
昔読んだ時にはよく分かりませんでしたが、今なら沁み入るほど理解できます。夜の地下鉄のシルバーシートに座って、深いため息をつくたびに、ボクは確実に「老けて」いるのだと思います。