【無人島94日目】枡野浩一 "ショートソング" [BOOK]
94日目。昨日の「昭和の日」振替休日は、友人知人総勢10名で、多摩川べりでバーベキューをしてきました。友人と言っても、ボクが知っているのは2人のみで、残りの7人は初対面。しかも男女半々! ドキドキ! いやウソ。そういうドキドキ感もすっかり忘れつつある三十路の下り坂。挨拶も早々に、ピッチも考えずにガンガン飲んで、鉄板の横に陣取って焼き上がる肉をマシンのように食いまくり、酔っぱらって野菜炒めにビールぶっかけたり、ちょっとはいいとこ見せねばと作り始めた焼きソバはベタベタで、ふてくされて横になったビニールシートで、結局グーグー寝てしまうというていたらく。むっつり起き上がった後、見事に晴れわたった多摩川のほとりで、ひとり短歌を詠んでみた。
焼きそばの油がちょっと多過ぎない? 初めて会ったキミに怒られ(ハチ)
【無人島84日目】小川洋子 "ミーナの行進" [BOOK]
84日目。ボクは子供のころ「鍵っ子」でした。学校が終わって家に戻ると、両親は共稼ぎだったので家におらず、5つ学年の違う兄は部活で遅くまで帰ってこず、学校は地元の小学校ではなかったので、近所に友達もおらず、だからほとんど毎日夜になるまで家にひとりで、本を読んだり、絵を描いたりして過ごしていました。ある意味、今よりもずっと思慮深く、思索好きで、クリエイティブだった。孤独がさみしいとは思わんかったし、確固たる自分の世界みたいなものを持っていた気がします。今や、まったく見る影もねえっす。ホント、あの頃の自分には会いたくないですな。「ガッカリだよ!」とか言われそう。
【無人島76日目】村上春樹訳 "グレート・ギャツビー" [BOOK]
76日目。もし「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」って言われたら、どの本をあげます? ボクは選びきれないんでこんなタイトルのブログをやっているワケですが、多分その3冊のうちの1冊には、村上春樹の本を選ぶかもしれません。そのくらいボクは彼の小説(特に短編)が好き。一昨年上梓された「東京奇譚集」なんか、好き過ぎて、マジ鼻血出ました(←読んでて興奮した)。んで、その村上春樹自身が、最新訳本である「グレート・ギャツビー」のあとがきで、こんなことを言ってるんです。
【無人島68日目】宮部みゆき "名もなき毒" [BOOK]
68日目。有給くっつけて10連休にしていた正月休みも、ぐびぐび呑んでいるうちに気づいたらあと2日。夜中まで呑んで、昼まで寝て、みたいな生活がすっかり身に付いてしまい、週明けに社会復帰できるか心配です。今だってすでに夜中の4時。なにしとんじゃ、オレは。寝れ! でも眠れない。だって昼まで寝てたから。それにこの本をさっき読み終えたばかりで、とてもじゃないが安眠できそうにありません。
【無人島66日目】松本大洋 "竹光侍" [BOOK]
66日目。明けました。おめでたいです。年明けは大阪で迎え、朝までぐびぐび。元旦は実家に帰り、家族でぐびぐび。2日は友人宅に招かれ、手料理でぐびぐびと、新年明けてから、ずーっとぐびぐびしてます。ダメじゃん!これじゃあ、昨年のリピートじゃん!ダメダメ!今年はビシッと生きねば。そう、例えば背筋を伸ばし、竹光を携えた侍のように。弟子、入れては則ち孝、出ては則ち弟、謹みて信あり、汎く衆を愛して仁に親づき、行いて余力あらば、酒をぐびぐび。違う!
【無人島62日目】カズオ・イシグロ "わたしを離さないで" [BOOK]
62日目。パンパカパーン! さて突然ですが、2006年度「無人島に持っていくで賞」BOOK部門の発表です。なんじゃそりゃ? いいの。勝手に作ったの。つい先週くらいまでは最有力候補とされ、ほぼ賞は確定かと思われた森絵都の「風に舞いあがるビニールシート」が、なんと最後の最後に脱落し、今年ぶっちぎりで賞をゲットしたのは……ドロドロドロドロドロドロ(←ドラムロール)、今週読み終えたばかりの「わたしを離さないで」by カズオ・イシグロ! おめでとーございまーす!
【無人島58日目】舛田光洋 "3日で運がよくなる「そうじ力」" [BOOK]
58日目。ここにリンゴが3つあります。1つめのリンゴは「かわいいねえ」「おいしそうねえ」と褒めちぎります。2つめのリンゴは「まずそうだなあ!」「バカじゃねえの!」などと罵倒します。3つめのリンゴは完全無視でなかったことにします。この場合、一番最初に腐るのはどれでしょう? 答えは3つめの無視されたリンゴ。2番目に腐るのが罵倒されたリンゴで、最後までもつのは褒めちぎられたリンゴだそう。つまり、罵倒されるよりも無視されるほうが悪い「気」がつくんだそうです。それは人もモノも同じです。さて、あなたの部屋のクローゼットに、忘れられたまま放置されたモノはありませんか? そこに悪い「気」が溜まってませんか? マイナスエネルギーに満ち満ちていませんか? あなたの運気はぐんぐん下がっていませんか? キャー!
【無人島51日目】あまんきみこ "車のいろは空のいろ" [BOOK]
51日目。甥っ子が9歳の誕生日を迎えました。ヤツが生まれてから、もう9年経ったのかと思うと軽くクラッとしますが、まだヤツは人生を9年しか生きていないのかと思うと、さらにクラッとします。9歳のガキって、なにを考えてるんだろう? なんで突然狂ったようにジャンプしたり歌い出したりするんだろう? なんで誰も聞いてない時でもペラペラ喋り続けるんだろう? なんでものすごい年上のボクに平気でタメ口なんだろう? なんでポケモンのキャラの名前を全部暗記できるほどの記憶力があるんだろう? ボクも9歳の時があったはずなのに、なんで思い出せないんだろう? 子供って不思議。
【無人島50日目】須藤元気 "風の谷のあの人と結婚する方法" [BOOK]
50日目。「金持ち父さん貧乏父さん」とか「チーズはどこへ消えた?」とか、数年に一度くらいの割り合いで、人生の成功術などをテーマにした、いわゆる「自己啓発本」ってやつが売れまくったりします。ああいうの、読みます? ボクはあんま読まないんです。生来ひねくれモノなんで、正論を大上段に語られると「うるせーよ。知ってるっつーの!」とか思っちゃう。知っててもできねーんだよ! いいんだよ! ほっとけ! 親父、酒だ、酒! グビグビ!みたいな。ダメダメ貧乏おじさん。
【無人島42日目】佐藤多佳子 "一瞬の風になれ" [BOOK]
42日目。最近やってないんですが、数年前まで毎年1回フルマラソンを走ってました。特に陸上好きとか、タイムが速いとかじゃないんですけど、走るのって人がいうほどキライじゃないんですよね。他人と勝負したり、チームワークを必要とされる球技よりも、黙々とひとりで自分と向き合っちゃう系のフィールドスポーツのほうが好き。ランニングハイを超え、アドレナリンが底尽きた30キロ地点あたりから訪れる苦行のような時間。周りはぼんやりと見えなくなり、いつの間にか伴走しているもうひとりの自分に、罵倒されながら走るのが好き。ドM。
【無人島35日目】竹原和生 "片岡は夏のにおい―中学2年の夏休み" [BOOK]
35日目。風が気持ちいいなあと思ったら、いつのまにか9月になってました。陽射しのスイッチが、明らかに「強」から「中」になり、しつこい蝉の鳴き声も、どっか気弱でお互いに励まし合ってるみたいに聞こえます。他の季節の終わりよりも、夏の終わりはその背中がはっきりしていて、だからこそ切ないですな。短くも鮮やかだった季節のエンディング。そんな時、ふと口ずさむのはこんな歌。♪なみだにハンカチが〜さしだされたというよりは〜ハンカチになみだが〜さしだされたような〜。
【無人島31日目】前川梓 "ようちゃんの夜" [BOOK]
31日目。ねえ、ボクたちの出会いを覚えてる? ボクは運命とかかなり信じちゃうタチだから、これはやっぱり運命だと思う。笑ってもいいよ。つうか笑え。こんちは、ハチ(男・37・チョンガー)っす。男兄弟しかいず、男子校出身なせいか、女の子同士の友情とかには萌えます。次に生まれ変わったら、「ヴァージン・スーサイズ」みたいな、超カワイくて、でも不安定で、気だるくて、むちゃむちゃ残酷な女の子とかになってみたい。男子には解らん言葉でコソコソ話して、クスクス笑って、たまに万引きしたり、暇つぶしに小動物殺したり、気まぐれにリストカットしたりしてみたい。どんな夢やねん。今回はそんな(?)ガーリーな世界がみっちり詰まったこの本をご紹介。
【無人島28日目】貫井徳郎 "愚行録" [BOOK]
28日目。最近なにかと話題の亀田親子。ボクシングの試合よりも、その後のドタバタのほうが話題沸騰っつう、おかしな状況になってますが、アレはどーなんすかね? いや、試合の判定が微妙だどーだってことよりも、ヒーローにもヒールにもなれる便利なキャラを、マスコミが好き放題オモチャにしてるように見えます。亀田親子を好きでも嫌いでもないけど、なんか今の状態は、大人数に苛められて熱くなってる子供みたいで少し可哀想かなと。
【無人島24日目】森絵都 "風に舞いあがるビニールシート" [BOOK]
【無人島18日目】よしもとばなな "なんくるない" [BOOK]
18日目。ただいまー。沖縄から帰ってきました。いやー、楽しかったさー。前半は台風でしたが、おかげでいろんなものをスパッと諦めて、腰を落ち着けてゆっくり飲めたし、台風が去ってからは天気も上々で、無駄になるかと思った日焼け止めローションもジャブジャブ使って、そんでも真っ黒になって帰ってきました。今回10年以上ぶりの沖縄でしたが、やっぱステキな土地だなあと思った。沖縄の魅力って、いろんな人が語ってるけど、ボクはなんとなく、嫌われないところかなーなんて思います。沖縄大っキライ!って人、会ったことないし。正直洗練はされてないし、交通は不便だし、ゴキブリでかいし、息苦しいほど暑い日もあれば、台風で表に出られないような日もあって、ネガティブにさせる要素もたくさんあるけれど、でも憎めない。周りにたまにいる、個性が強くて、わがままだったりするけど、誰からも好かれている不思議な人って感じ。たぶん内面から溢れ出る愛らしさみたいなものを、沖縄は持っているのかなーと。
【無人島15日目】藤原正彦 "国家の品格" [BOOK]
15日目。昭和ヒトケタ生まれのウチの父母は、おかげさまで未だ健在。体にガタはきているものの、特に悪いところもなく、元気に暮らしております。現役時代はふたりとも教員をしておりまして、絵に描いたような堅ブツ夫婦。テレビはデフォルトNHK。たまの民放は「笑点」と「渡鬼」。新聞はボクが生まれる前から朝日。野球は巨人。お風呂は熱め。オヤジのタバコはセブンスター。ボクが海外に住んでた時代に、ふたりで初の海外旅行で遊びにきて、初日に「何食べたい?」って聞いたら、声揃えて「和食」って答えた典型的日本人コンサバ夫婦です。んで、先日実家に帰ったら、オヤジから「お前、コレ読め」と渡された本がコレ。後ろから母ちゃんも「そうね、あんたは読んだほうがいいわね」などと、意味深な援護射撃。どーゆー意味?
【無人島9日目】吉田修一 "パレード" [BOOK]
【無人島7日目】ECD "失点イン・ザ・パーク" [BOOK]
7日目。前回、「腰が痛いのー」てな話を書きましたが、なんだかなかなか痛みが引かないのでちょっと心配になって、昨日整形外科に行ってきました。レントゲン撮られて、触診されて、医者が言い放った一言。「まあ、老化現象ってやつですかね」。冗談で言ってんのかと思って、「ワハハ」って笑ったら、笑ってんのはオレひとりで、医者も看護婦もすんごい真面目顔。ワハハハハ。笑っとけ笑っとけ。
【無人島3日目】下田昌克 "PRIVATE WORLD" [BOOK]
3日目。先月ボクの友人(男・24)が南米に旅立ちました。仕事を辞め、貯金をすべておろして、金が尽きるまで続ける無期限ひとり旅だそうです。現在はブラジルのサルバドールとかいう街にいて、先日こんなメールを送ってきました。
「サルバドールでは子供からジジババまで、みんな同じ音楽を聴いています。火曜の夜は毎週音楽祭みたいなのがあるんですが、教会の階段が客席になって、踊り場にサンバやサルサのバンドが出てきます。日本だと音楽は個人的で、イヤホンや自分の部屋のスピーカーに限定されがちですが、ここではみんなが、歩きながら、働きながら、本を読みながら、笑いながら、心の中で地元の音楽を奏でているようです。なんというかすごくうれしくなります。」
いいなあと。そのサルバドールって街もそうなんですが、そういう風に見知らぬ国の街角で、何気ない景色に心を動かされる旅ってのが、いいなあと。ボクもちょうど彼くらいの年に、同じく会社を辞めて、海外に長期滞在した経験があるんで、このメールで彼が伝えようとしている感情の「質」みたいなものが、なんだかよく分かるんです。それは、夢でみた風景を説明するときみたいに、ちぎれちぎれの記憶をつなぎ合わせて、言葉にすればするほどどんどん離れて行ってしまうような、もどかしいコラージュのような感情です。
【以前の無人島34日目】劇団ひとり「陰日向に咲く」 [BOOK]
34日目。前回、ボクの仕事の話を少し書きましたが、もし今の職業についてなかったら、何をしてたんだろう?なんて時々考えます。ごく短い期間、営業職ってのについてましたが、恐ろしく向いてなかったなあ。いやマジ、あれはヤバかった。オレだってあんな後ろ向きの営業マンからモノ買いたくないもの。音楽は大好きだけど、楽器もできねえしミュージシャンにはなれんね。物書きはちょっと憧れるけど、長編小説とかは無理な気がする。絶対途中で辻褄合わなくなって、原稿破るな。うーん、オレってキャパ狭いかも。なんでもこなせる器用な人ってのに、憧れます。
【以前の無人島32日目】島本理生「ナラタージュ」 [BOOK]
32日目。昨日から中くんの歌をエンドレスリピートで激しくヘビローしてたら、なんとなく若かりしころにしていた、カルピス系な恋なんぞを思い出してみたり。好きで好きで、苦しくて苦しくて、相手の一言に激しく落ち込んでみたり、逆に異常にハイになってみたりと大忙しだったあの日々。あんなに恋に没頭できたのは、若かったからなんでしょうか?それともヒマだったからなんでしょうか?はたまたバカだったからなんでしょうか?まあまあ、この本でも読んで、あの頃の気持ちを回想してみましょうや。
【以前の無人島25日目】町田康「告白」 [BOOK]
25日目。さて久しぶりに長い小説にでも取り組んでみましょうか。ボクは短編小説が連れて行ってくれる小旅行的なマインドトリップも大好きなのですが、著者の思考の海にどんぶらこ漕ぎ出し、何日もかけてフロンティアを目指す船旅のような長編小説も大好きです。さて今回乗り込んだのは、「町田康」丸。初めて乗る船でしたが、なかなかタフな旅になりました。
【以前の無人島20日目】よしもとばなな「みずうみ」 [BOOK]
20日目。翌朝、きれいに晴れた空を見上げつつ、ボクは森の奥へ入って行きました。けもの道をつたい、のんびり歩いて行くと、突然森が開けてそこに美しいみずうみがありました。しんと静まりかえった水面は、まるで空を映すための鏡のように、ただ黙って静かに横たわっています。水辺に腰を下ろし、ボクはこの本を読み始めました。
【以前の無人島16日目】アーサー・ゴールデン「さゆり」 [BOOK]
16日目。明けました。おめでとうございます。今年もです。しかしお正月ってどーしてこんなにヒマなんでしょうね? テレビもつまらんし店も閉まってるし、観たいDVDは全部レンタル中だし。しょうがねえから、ちょっと長めの本でも読みましょうか。上下巻くらいのやつで、面白いのはないかな? お。これこれ。最近映画化で話題になりました。めもりーずおぶあげいしゃ。
【以前の無人島13日目】斎藤隆介/滝平二郎「モチモチの木」 [BOOK]
13日目。もうすっかり年の瀬。ここは夢の無人島なので、ちょっと気分出してほしいなぁなんて思ったりすると、うまい具合に雪がチラチラと降ってきたりします。カチカチに凍てついたガラス窓の向こう、葉を落とした大きな木が、まるで寒さを厭わない強靭な老人のように佇んでいます。こんな風景をいつか見たことがあるな。そう、ずいぶん昔に何度も繰り返し見た景色なんです。
【以前の無人島7日目】ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」 [BOOK]
7日目。小熊バーから夜道を歩いて帰ってきたら、すっかり酒が抜けました。シャワーを浴びて水を飲んだら、ベッドに入って本でも読みましょう。でもすぐ寝ちゃいそうだから、さっぱりとした短いのがいいな。こんな静かでシンとした夜にうってつけの短編集と言えば……。ジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」。
【以前の無人島2日目】枡野浩一「淋しいのはお前だけじゃな」 [BOOK]
さて、干したてのフカフカの布団みたいな無人島の砂浜で、ゴロゴロしながら本でも読みましょうか。いきなり最初から長編でドップリ浸かってしまうのもどうかと思うので、なにか軽ーく読めるものがいいなあ。あんま考えさせられたり語られたりするやつよりも、短くてすぐに読み切れて、読んだあと内容よりもリズムのようなものが残る本……つうと。これはどうだ? 枡野浩一の短歌+エッセイ集。