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【無人島61日目】Bob Schneider "I'm Good Now" [CD]

I'm Good Now

I'm Good Now

  • アーティスト: Bob Schneider
  • 出版社/メーカー: Vanguard
  • 発売日: 2004/04/13
  • メディア: CD


61日目。いいか? 恋ってのはそんな生易しいもんじゃないんだぞ? メシ食う時だって、ウンコする時だって、いつもそのヒトのことで頭がいっぱいよ。なんかこう、胸ん中が柔らかぁくなるような気持ちでさ。チョットした音でも、例えば千里先で針がポトンと落ちても、アーッ!となるような、そんな優しい気持ちになって、もうそのヒトのためなら何でもしてやろう、命だって惜しくない。「寅ちゃん、私のために死んでくれない?」って言われたら、「ありがとう」と言ってすぐにも死ねる。それが恋というもんなんだよ。

久しぶりにビデオで寅さんを観たら、いいコト言ってました。やっぱスゲーな寅さんは。しかしこんなにピュアで真っ直ぐな男が、永遠に恋を成就できないという設定は、ある意味残酷物語ですな。画面には映らないひとりの時間、車寅次郎っていう男はどういう人だったんでしょう? 暗い駅のホームで、夜汽車のシートで、旅先の安宿で、彼は何を思ってたんだろう? 意外と思慮深く、内省的で物思いに耽るタイプだったんじゃないかと思います。もしも洋楽なんか聴く人だったら、このアルバムなんかを薦めてあげたいです。

テキサス出身のシンガーソングライター、ボブ・シュナイダー。91年にバンドを組んでインディーズからデビューし、99年にソロへ転向。04年に発表したこの「I'm Good Now」で高い評価を受け、地元テキサス州の音楽賞を総ナメしたとか。今年ニューアルバムも出しています。

ジャンルでいうと、カントリーとフォークとロックの中間あたりでしょうか。音的には骨太で、レイドバックで、アーシー(earthy=素朴)な雰囲気。ブルース・スプリングスティーンでもあり、エルビス・コステロでもあり、ニール・ヤングでもある感じです。苦手な人もいるかもしれませんが、聴くほどに味わい深い音楽です。

歌詞は、南部生まれの貧しく粗野で不器用な男が恋に落ち、どうにかそれを伝えようとして身もだえている姿を、自傷行為のように書き綴ったものが多いです。エロな表現もありますが、モテない男の頭の中を掻き出せば、エロな言葉が出てくるのは当然で、そういう意味では寅さんより、より人間臭いイメージです。ひたすら内省の旅を続け、自分を嫌悪し、唯一愛した人にだけ、自分を覚えていてもらいたいと願う男の吐き出す歌は、時に痛々しく、時にハッとさせられます。

キミがいなくなってから、まったく悪いこと続きでさ。
ブレーキを踏み込んでいるのにスピードが落ちない感じだよ。
オレ、墓石に彫ってもらいたい言葉を決めたんだ。
オレが死んだら、誰かに伝えてもらえないかな?
ブットくデッカく、ただ一言、「I'm Good Now」ってさ。
(I'm Good Now)

「I'm Good Now」を訳すと「今は真人間だ」「ようやくまともになった」「やっといい気分だ」、そんなところでしょうか? 逆に言うと、ある種の人間には、生きることは苦行で、恋をすることでさえ試練のようなモノであるのかもしれません。寅さんもそうだったの? うるせえなあ。覚えてねえよ、そんなこと。おい、まくら! さくらとってくれ!


タグ:2006年
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