【無人島170日目】ポール・オースター "最後の物たちの国で" [BOOK]
170日目。小学生の頃に国語の教科書で読んだお話です。日本で働いているアメリカ人の青年が、久しぶりに故郷に帰ることになります。彼は帰郷したらぜひやりたいと思っていることがありました。それは実家の子供部屋の壁紙を剥ぐことです。子供の頃、部屋にカラフルな絵柄の壁紙を貼っていた時期があって、子供ながらにとてもきれいだと思っていました。なぜか日本で過ごす間にその壁紙のことを思い出し、ぜひもう一度見てみたいと思ったのです。空港に迎えにきてくれた妹にその話をすると、妹も覚えているようです。「あのキレイな色の壁紙ね。子供たちが遊んでいる絵で、男の子が青いシャツを着ているやつでしょ?」「いや、男の子のシャツはオレンジだったぜ?」。そんな会話をしながら家に戻り、早速ふたりで子供部屋の壁紙を1枚ずつ剥がしていくと、やがてその絵が現れます。しかし男の子のシャツは青でもオレンジでもありません。ましてやカラフルな絵などではなく、その壁紙自体が「影絵」だったのでした。
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